亭主挨拶

食べる事は、
人生で欠くことのできない、
大きな喜びの一つです。

しかし、
人が一生涯にできる食事の回数は限られています。

全て人は、今日にも、明日にも死ぬかもしれません。

そして、
それは私たち料理させて頂く側もまた同じです。
ご縁を頂く食材・お客様・試み、全てに限りがあります。

命の最期を迎える瞬間に抱く想いが、
「いやあ、最後にアレを食べる事ができて幸せだ」 
「アノ人に全身全霊の料理を託せて悔いはない」 なのか。

食の道は、一期一会、死ぬ事と見つけたり。

食べるって、しあわせ
食べる事は、生きる事。


高級なもので贅沢や快楽をむさぼるのではなく。
命あるもの頂くことがありがたいから、というだけでもなく。

食べてもらえるって、うれしい。
食べてもらう事は、食べる人の人生(命・時間・資産)を背負う事。

食べる人の喜びや、笑顔、しあわせという表面的な事ではなく。
美味しく健康的(安心安全)、良心的な価格という当然の事だけでもなく。

いつ何時、命が終わるかもしれないからこそ。
食べたいもの、食べてもらいたいものに全力で取り組む。

精一杯今を生きる(生きてもらう)ために、
単に欲求を満たすだけではなく、滋養をつけ、身も心も元気にする。

それは「生きたい、生きて欲しい」という願いであり、
「生きるとは何か、なぜ生きるのか」という探究でもあるのだと思います。

亭主 伊師川 元
令和二年五月 コロナウイルス禍下にあって